哲学入門 第二水準要約 各章の課題を把握する
抜粋
第1章 意味
この章では、 本来の機能が自然化できれば、 意味も自然化できる ということ、 本来の機能を自然化するための有望な方法として、 ミリカンの進化に訴えた議論がある ということまで確認できた。
次章以下では、ミリカン的な機能の捉え方をさらに擁護することを通じて、機能(とついでに目的) をモノだけ世界観に描き込む作業を完成させよう。
第2章 機能
あるものごとのもたらす結果のうち、特定のものだけをそのものごとの(本来の) 機能たらしめているのはいったい何か。これをあくまでモノだけ世界観に立ちながら説明する必要がある。
第3章 情報
1章と第2章では、心が何かを意味できるという、ごくありふれた事実を唯物論的世界観に描き込むにはどうすればよいか、という話をした。
しかしこれは、あくまでも、心的表象が現に存在していること、つまり心の中のサムシングが心の外の事物を「意味する」ことができている、ということを前提しての話だった。
でも、本書の大目標を思い出してほしい。
それらが、そんなものを最初は含んでいなかった世界の中でどのようにして湧いて出たのか、そのシナリオを描く。
発生的観点に立ったプログラムが本書の狙いだ。
第2章までは、歴史の終点からさかのぼろうとしたトップダウンの議論だった
この第3章では、まずはボトムづくりの作業を行う。
これが、本章に続く第4章のメインテーマになる。
次章ではこの意味の素からどうやってわれわれの表象が出てくるかを考えよう。
第4章 表象
第1章と第2章では「意味する」は生きもの特有の現象であると言っていたのに対し、
第3章では、生きていようがいまいが自然界で生じる出来事はすべて他の出来事の情報を伝えている(つまり意味している) と言っていい、出来事があれば意味の素はある、みたいな話をしていた。
本書のプロジェクトをさらに先に進めるためには、ここいらでこれら二つのいっけん対照的な考え方をどうにかして結びつけ、いいとこ取りをする、という作業が必要になる。
この第4章ではそれをやろう。
そうすると本章での課題はどういうことになるだろう。
第1章は進化の現時点での最終産物である志向的表象があることを当たり前と考えて話を始めたわけで、トップダウン的な議論だったと言えるだろう。
今後の私たちの課題はこうなる。
第1章、第2章のトップダウン的な議論と第3章のいわばボトムアップ的な議論とを結び合わせて、自然界での情報の流れ一般がもつような志向性モドキから正真正銘の志向性をもった私たちの表象(志向的表象) がどのようにして出現したのか、あるいは出現できるのかを考えること。
モノからココロがどうやって発生したのか/ できるのか、について語ろう
本章の課題は、間違いのありえない自然的記号と間違いうる志向的記号の二つをつなぐことだ。
間違いうるような形で表象(志向的記号) をもつことにどのような利点があるのだろうか。
これが次章の隠れたテーマの一つだ。
第5章 目的
前章の宿題は、 間違うことのできる表象をもつことにどんな利点があるか、だった。
間違いの余地があるような仕方で何かを表象できることには利点があるかもしれん。
それは何かを考えよう
本章で最終的に目指すのは、このような目的・目標がどのようにして自然界の中で湧いて出てくるかのシナリオを描くことだ。
第2章で紹介した「本来の機能」という概念と「目的」という概念とは同じコインの裏表と言ってよい
次の二つのことを本章では言いたい。
目的手段推論のための能力も、もっと原始的な、目的っぽい生命現象の上に乗っている。
目的手段推論がどのような意味で、こういった生きもの一般がもつ能力に還元されない特殊性をもつ「すぐれた」能力であるのかは、目的手段推論がそれをもたない生きものからどのように進化してきたかのシナリオに照らして初めてはっきりする。
本章ではこの二つをやろう。
本章でやってきたようなたぐいの議論はいったい何をやっていることになるのか
本章でやってきた(これからもやっていく) のもタスク分析だ。
「人間らしさ」のルーツがこの拡張機能にあるからだ。そのことを続く二つの章で見ることになるだろう。
第6章 自由
本章の最終的な狙いは、われわれは自由であると言ったときの「自由」とは何か
そしてなぜそれがわれわれにとって大切なものなのかに答えることにある。
本書全体の趣旨からして、この問いをダイレクトに問うことはしない。
モノだけ世界観に自由を描き込むにはどうしたらよいかを考える。
その過程で、間接的にこれら二つの問いに答えていこう
次にこの問題について考えよう。
道徳と自己の進化について正面から問題にしなければならなくなる。
これが次章の課題だ。
第7章 道徳
合理的で効率的な自己コントローラーであることというデフレ的な自由は、決定論と両立する。そしてこの自由は、たしかにもっている方が望ましいと言える。
これが前章の結論だった。
人生の意味──むすびにかえて
これが「望むに値する人生の意味」である。
あとがきまたは謝辞または挑戦状
本書は発生的観点にもとづく。存在もどきが、どこどこどこから来たのかのシナリオを描きましょう、という考え方だ。